脳卒中の約6割を占めています。脳の血管が詰まることにより十分に血液が運ばれず、神経細胞が障害されます。病態により「ラクナ梗塞」、「アテローム血栓性脳梗塞」、「心原性脳塞栓」に分かれます。
代表的な症状には、つぎのようなものがあります。
・急に手足から力がぬける。
・片脚が引きずっている。ものにつまずく。ふらふらして真っ直ぐに歩けない。
・言葉が出てこない、理解できない。
・めまい、物が二重に見える。
・物の半分が見えない。
このうち、最も多い症状は「身体の右半身か左半身に力がはいりにくくなる」という「運動麻痺」です。つぎに多いのは呂律がまわりにくくなる「構音障害」、相手が話していることが理解できない・言いたいことが話せないといった「失語症」です。ほかにも身体の痺れなどの「感覚麻痺」、左側の空間の認識が難しくなる「半側空間無視」もみられます。こうした症状が1つだけ出現したり、いくつかの症状が重複して出現することもあります。
脳の動脈が破れて出血し、流れた血液が血腫をつくり、脳内の神経細胞を圧迫することで障害が起こります。脳出血は脳卒中の約2割を占めており、時には死に至ります。
主な原因は高血圧です。脳の血管は細くてもろく、さらに血圧の負荷が強くかかります。長期間、血圧が高い状態が続くと血管はさらにもろくなり、血管が破れやすくなります。
症状は脳梗塞と大きくは変わらず、手足の力がはいりにくい、呂律がまわらない、手足が痺れる、めまいなどがみられます。出血した部位や出血した量により症状は異なります。
出血部位は、被殻が約4~5割、視床が約3割、他には皮質下、小脳、橋にみられます。
脳は外側から、硬膜、くも膜、軟膜で覆われています。くも膜と軟膜の間にはくも膜下腔と呼ばれるスペースがあります。くも膜下出血は、このくも膜下腔に出血が起こります。
原因としては、脳動脈の一部がふくらんだ動脈瘤の破裂によるものが多く、死亡率も他の脳卒中に比べ高く、後遺症を残す場合もあります。家系内に動脈瘤やくも膜下出血の方がいる場合は発生頻度が高く、高血圧、喫煙、過度の飲酒も発症の危険因子になります。
発症したときの症状としては、「頭を殴られたような激しい頭の痛み」、「意識がもうろうとする」、「嘔吐」、「物が二重にみえる」といったものが現れます。